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3ヶ月目

・@cocoro0608千夏
@beruo2k 初めまして。私は従姉です。千夏は今日の夕方に息を引き取りました。先生には伝えて欲しいと言いました。

・大江健三郎「セヴンティーン」1961
 おれが恐い死は、この短い生のあと、何億年も、おれがずっと無意識でゼロで耐えなければならない、ということだ。この世界、この宇宙、そして別の宇宙、それは何億年と存在しつづけるのに、おれはそのあいだずっとゼロなのだ、永遠に!おれはおれの死後の無限の時間の進行をおもうたびに恐怖に気絶しそうだ。…
 死んだ人間なら無意識だから恐怖を感じることがない。ところが夢の中のおれは無限の遠方の星で独り目覚めているので恐怖をつねに意識しているというわけなのだ。悪意にみちた夢の配給管の悪がしこい発明だ。死の恐怖と、その悪夢は近づいてきていた。…
 ソノ夜、オレハ自分ガ美智子サンデモアリ、投石少年デモアル夢ヲ見タ。アレハ何故ダッタロウ?あれは何故だったろう、おれは死の恐怖から逃れられず体をおこし目を開き、震える体を抱きしめ暗闇を睨みつけた。今日はいままで一番ひどい恐怖で脂汗が流れてきた。おれは祈るような思いで、できるだけ早く結婚し、その美しくはなくても憐憫の情の厚い妻に夜じゅう目覚めていてもらい、おれが眠ったまま死なないように見はっていてもらえたら、と願った。


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・デレク・ハートフィールド「火星の井戸」(村上春樹『風の歌を聴け』1982)
 ある日、宇宙を彷徨う一人の青年が井戸に潜った。彼は宇宙の広大さに倦み、人知れぬ死を臨んでいたのだ。下に降りるにつれ、井戸は少しずつ心地よく感じられるようになり、奇妙な力が優しく彼の体を包み始めた。1キロメートルばかり下降してから彼は適当な横穴をみつけてそこに潜り込み、その曲がりくねった道をあてもなくひたすらに歩き続けた。どれほどの時間あるいたのかはわからなかった。時計が止まってしまっていたからだ。二時間かも知れぬし、二日間かもしれなかった。空腹感や疲労感はまるでなかったし、先刻感じた不思議な力は依然として彼の体を包んでくれていた。
 そしてある時、彼は突然日の光を感じた。横穴は別の井戸に結ばれていたのだ。彼は井戸をよじのぼり、再び地上に出た。彼は井戸の縁に腰を下ろし、何一つ遮るものもない荒野を眺め、そして太陽を眺めた。…
「あと25万年で太陽は爆発するよ。パチン…OFFさ。25万年。たいした時間じゃないがね。」
 風が彼に向かってそう囁いた。
「私のことは気にしなくていい。ただの風さ。もし君がそう呼びたければ火星人と呼んでもいい。悪い響きじゃないよ。もっとも、言葉なんて私には意味はないがね。」
「でもしゃべってる。」
「私が?しゃべってるのは君さ。私は君の心にヒントを与えているだけだよ。」
「太陽はどうしたんだ、一体?」
「年老いたんだ、死にかけてる。私にも君にもどうしようもないさ。」
「何故急に…?」
「急にじゃないよ。君が井戸を抜ける間に約15億年という歳月が流れた。君たちの諺にあるように、光陰矢の如しさ。君の抜けてきた井戸は時のゆがみに沿って掘られているんだ。つまり我々は時の間を彷徨っているわけさ。宇宙の創成から死までをね。だから我々には生もなければ死もない。風だ。」


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・死生学 
小林秀雄「夢は、体験として事実である」
http://www.veoh.com/watch/v19452416GEsNYBwa

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